Candygrace

Life is beautiful whatever comes.

”もしあの時違う選択をしていたら...”:決断に責任を持つ生き方

”The Midnight Library”

久しぶりにファンタジー小説を読みました。実は、ファンタジーだとは知らず、何の先入観もなく読み始めて、アレ、これってもしかしてファンタジー?と思ったところで一瞬ちょっと退きましたけど、読み進めていくうちに自己投影しつつ、考えさせられることも多く、読後はほっこりとした気分になれました。

ディケンズクリスマス・キャロルを彷彿とさせるアプローチでもありました。でも、読み進めていく中で、クリスマス・キャロルの現在・過去・未来の3つのディメンションを経験することから今の自分を見つめ直して、新たな境地で新たな生き方を切り開いていくという帰結ではなく、”選ばなかった人生”を幾つも体験することを通じて、過去の選択の上に成り立っている今の人生(そしてこれからの人生も)を見つめなおすというThe Midnight Libraryでは、Nora(自殺を試みて生と死の狭間にあるミッドナイト・ライブラリーに行く着く主人公)を通して、もし自分だったら....と考えさせられもしました。もし、あの時、別な選択をしていれば、という思いは誰でも多かれ少なかれふと心に浮かんだことがあるかと思います。よその芝生が緑に見えるのと同じく、得ればなかった人生が緑に見えることもあるかもしれません。これって後悔の念にも繋がるものだと思いますが、今しあわせに感じれない場合は特にそういう境地に陥るかもです。

私としては、「もしあの時あーしていれば...」的な後悔はなく、過去の自分の決断の上で今を生きていることを潔く思っています。真摯に受け止めることができています。カッコよく言い切っていますが、今の自分が嫌になることは時折あって、「あー....これだから私ってもう、やってられない、なんておバカ...」のドツボにハマって固まる、やる気を失う、殻にこもって出てこれなくなることはあります。過去に起きたことに囚われてしまうこともあります。でも、しなかった選択への後悔、選ばなかった道への未練はありません。

過去の大小さまざまな無数の決断から成る今

決断には責任も伴うのよ、と、先日下の娘に話したところです。自分のやりたいことがあって、それを追及しているうちに、大学を卒業する(休学後、復学して卒業すると約束していたところでした)ことよりも、そちらで”満足してしまって”(と、娘の言葉を借りると)...という話の流れの中で伝えた言葉です。正直ショックというか、残念な気持ちになることは止められませんでした。それでも、彼女が下す決断であれば、それを尊重したく思います。その思いだけは伝えましたが、自分の決断に責任をもって生きること、とも伝えました。

選ばなかった選択への未練は私自身の人生ではありませんが、ただ一つだけ、どうしても繰り返し訪れてくる思いがあります。娘たちにとっていい影響(環境も含めて)を与えてきただろうかという点です。その時その時にベストだと信じて決断して行動してきた人生ではありますが、その私の決断で、娘たちには負担をかけてきた、普通ではない環境を与えてきたこともあったと思います。離婚したワーママだったことから、シッターさんがお迎えに行く、誰もいない家に帰宅してチンして食べる夕食、冷蔵庫にあるお弁当を持って通う塾等、何も特別なことではないですし、こういう環境の子供たちは他にもいることは確かですけど.....。

私はママみたいにはならない

帰宅してもPCに向かって翻訳をしている私に上の娘がそう言ってきたことがありました。高校生だった頃です。そして、その言葉どおり、”ママみたいにはなっていない”今の上娘ですが、この程、6か月の試用期間を経て正社員になると知らせを受けました。クリエーターとしてフリーでも時折仕事をしているようで、活躍の場があることに感謝です。彼女の過去の選択(転職、ボーイフレンドとの別れと出会い、引っ越し)を遠目で観てきましたが、乗り越えてきた一つ一つの様々なチャレンジから成長してきたことも感じます。下娘のことも、これからの彼女の決断を尊重しつつ、助けが必要な時はいつでも出動できるように準備しておこうと思います。

You don't have to understand life. You just have to live it.

図書館司書のMrs. ElmがNoraにきっぱり言うセリフです。「人生を理解しなくたっていいの、ただ生きるの!」生きてるだけで丸儲けのスピリット。折しも、毎日ウクライナ戦争のニュースをネットで追ってしまう中、娘たちがそれぞれ置かれた所で模索しながらも生きていること、そして私も生かされている事そのものに、それだけで感謝な気持ちになります。どうしても、私の決断で与えてきた環境が娘たちに良くなかったのではないかという思いが強く津波のように押し寄せてくることがあります。その重い思いは津波のように怒涛に押し寄せますが、同じく津波のように退いていくものでもあるのですけど。過去をあれこれ考えてこうやって悩むことは、Mrs.Elmのいう人生を理解しようとする種の事かもしれません。人生を理解しなくたっていい、ただ生きよ、というのはいい得て妙。それから、Noraのbook of regretにある選ばなかった道を思うより、これからのことに目を向けようと思えたのが、この本から得た一番の収穫だったかもしれません。

The only way to learn is to live.